インプラント

Implant Treatment

インプラント

インプラント治療とは、歯を失った部分に、人工の歯根(インプラント)を埋め込み、歯を補う治療法です。
以前は、歯を失った際の治療法として、義歯やブリッジなどが一般的でしたが、近年ではインプラント治療を希望される患者様が増えてきております。

Merit

  • 健康な歯を削る必要がありません
  • 天然の歯と同じように噛めます
  • 顎の骨が痩せていきません
  • 天然歯のような審美性を得られます

Demerit

  • 外科手術が必要です
  • 治療が行えないケースがあります
  • 保険診療が適用されません
  • 定期診査が必須となります

インプラントの構造

インプラントは、人工歯、アバットメント、インプラント体の3つの構造に分かれています。
人工歯の素材はハイブリットセラミックスが一般的です。周囲の歯の状況や噛み合わせなどを診査のうえ、患者様に合うものを提案します。アバットメントは、人工歯とインプラント体を連結させる役割があり、基本的にはスクリューというネジで固定します。そして、顎の骨に埋め込む人工歯根がインプラント体です。骨のサイズや形態に合わせて様々な形や長さのものを準備しています。

当院のインプラント治療

当院ではドイツDentsply Sirona社製、アンキロスインプラントシステムを導入しています。近年までインプラントは噛むことを重点にした治療でしたが、それだけでなく、高い審美性と組織安定性の向上を目的に開発されたのが、このアンキロスインプラントシステムです。開発より30年今では世界中で注目され、その長期安定性が認められています。

当院のインプラント治療の
こだわり

当院では、インプラント治療を通して生涯にわたる快適さを追求しています。失った歯を補うだけでなく、「しっかりかめる喜び」を維持していただくために、治療後の生活を見据えたサポートを行うのが特徴です。噛んだ時の安定感や見た目のバランスも含めて、長くお使いいただけるよう心がけています。

当院における
インプラントの種類

ソケットリフト

上顎の奥歯部分に関して、インプラントを入れるための十分な骨の高さが確保できない場合に行う治療法です。専用の器具で上顎洞底を押し上げて、骨補填材を充填。しっかりと骨が出来上がった数ヶ月後にインプラントを埋入します。

治療期間
約6ヶ月~12ヶ月
回数
約6回~10回
リスク
対応できる範囲が限られるため、条件次第では別の治療法を検討する場合がある。
費用
11,000~44,000円(使用した人工骨の量により変動します)

サイナスリフト

上顎と上顎洞の隙間が狭い場合などは、ソケットリフトが難しいのでサイナスリフトを検討します。頬側の歯肉をめくり、側方から骨補填材を充填する方法です。ソケットリフト法よりも傷口が大きくなりますが、様々な症例に対応しています。

治療期間
約6ヶ月~12ヶ月
回数
約6回~10回
リスク
術後の腫れや痛みが生じる可能性がある。
費用
11,000~44,000円(使用した人工骨の量により変動します)

GBR

インプラント埋入時に歯槽骨の量が不足している際、高さや幅を確保するために骨造成を行う治療法です。骨量が不足している箇所に、「ハイドロキシンアパタイト」や「B-TCP」などの人工骨を移植し、メンブレンという特殊な膜を覆い被せていきます。

治療期間
3ヶ月〜6ヶ月
回数
手術1回〜2回
リスク
術後のケアが難しく、患者様の負担が大きい。
費用
44,000~77,000円(使用した人工骨の量により変動します)

ソケットプリザベーション

インプラントなどを行うために、抜歯をした後、そのままの状態を放置していると周りの骨を吸収し始めます。患者様によっては骨量が足りなくなるので、抜歯後の穴に人工骨などを入れて骨の吸収予防・骨の再生を行う必要があります。これをソケットプリザベーションと呼びます。

治療期間
約6ヵ月
回数
約4~6回
リスク
場合によっては、追加の骨造成が必要になるケースがある。
費用
11,000~44,000円(使用した人工骨の量により変動します)

抜歯即時インプラント

文字通り、抜歯してすぐにインプラントを埋め込んでいきます。手術当日から歯が入るため、「治療期間が短い」「手術の回数を減らすことができる」など様々なメリットがあります。症例は限られますが、歯のない期間を最小限に抑えられるため是非一度ご相談ください。

治療期間
約6ヶ月~12ヶ月
回数
約6回~10回
リスク
細菌感染のリスクが高まることがあるため、十分な事前検査や術中管理が重要。
費用
44,000~77,000円(治療計画により変動します)※通常のインプラント治療に金額が追加される形式になります。

リッジエクスパンション

加齢により骨幅が狭くなっている場合に行う治療法です。バーで切り込みを入れて、徐々に骨幅を拡大。十分骨が広がった段階でインプラントを埋め込んでいきます。

治療期間
約6ヶ月~12ヶ月
回数
約6回~10回
リスク
顎骨を骨を大きく失う場合がある。
費用
77,000~110,000円(治療計画により変動します)

自家骨骨造成

歯槽骨の高さや幅が不足しているときに、骨量を増やすために自分の骨を採取(自家骨移植)し、骨造成する治療法です。時間はかかりますが、拒絶反応が起こらず安定して骨量を増やすことができます。

治療期間
約6ヶ月
回数
約10回
リスク
治療期間が比較的長くなる傾向にある。
費用
44,000~77,000円(治療計画により変動します)

治療の流れ

インプラント手術は滅菌状態で行います。使用器具・材料はもちろんのことですが、術者の術衣、グローブ、患者様におかけするシートなど、手が触れるすべてを滅菌状態で管理して手術を行います。また、CT撮影により、術前の診査・治療計画の立案を必ず行っています。

当院でのインプラント治療は、2回法を採用しています。1回目の手術でインプラントの埋入を行い、上顎で4~6ヶ月、下顎で2~3ヶ月程、インプラントと骨が結合するのを待ちます。2回目の手術は歯肉形態の修正、上部構造製作の準備を行います。ここからは約1ヶ月間で型どり、上部構造の製作、完成・装着を行います。

  1. Flow01

    カウンセリング

    患者様のお悩みや症状、治療に関するご希望などを伺います。また、インプラント治療の流れやメリット・デメリットなどをご説明します。

  2. Flow02

    精密検査

    歯科用CTやレントゲンでの撮影、口内のチェックなどを行います。それらを分析、シミュレーションし精密検査をします。

  3. Flow03

    歯周病治療と前処置

    手術前の準備として歯周病検査・治療を行い、お口の中全体をより良好な状態にします。また、必要に応じて仮歯などを用意します。

  4. Flow04

    一次手術

    歯肉を切開し、顎の骨にインプラント体を埋入する穴を開け、インプラントを埋入します。歯肉を縫合し、骨とインプラントが結合するのを待ちます。

  5. Flow05

    二次手術

    骨とインプラントがしっかり結合したら、埋入したインプラントに人工歯との接続部を装着します。

  6. Flow06

    上部構造の準備

    印象・咬合採得、人工歯の色調の決定を行います。

  7. Flow07

    上部構造の装着

    製作された人工歯の微調整、色調の確認を行い、噛み合わせや見た目に問題なければ装着します。

  8. Flow08

    アフターケア

    インプラントは新たに得られたご自身の歯です。少しでも長くお使い頂けるよう、定期的なメンテナンスをお勧めしています。インプラントだけでなく、お口全体の健康維持にも有効です。

インプラントと骨造成

インプラントを埋め込むには
骨も必要になる

インプラントを埋め込むには、しっかりした土台(顎の骨)が必要です。骨が足りない場合でも、骨を増やす手術を組み合わせれば対応できる可能性があります。とくに重度の歯周病や長期にわたる欠損で骨が萎縮している方は、事前の骨造成を丁寧に行うことがインプラントの安定に結びつきます。

骨造成移植治療とは

加齢や歯周病で顎の骨が溶けたり、薄くなったりした場合はインプラント治療が難しいケースがあります。インプラントは顎の骨としっかり結合することで、噛む力を確保するためです。その際に重要なのが骨造成移植治療です。骨が不足している部分に、HAP(ハイドロキシアパタイト)やβ-TCP(ベータリン酸3カルシウム)などの人工骨を充填し、骨を作っていきます。時間はかかりますが、他院でインプラントが難しいと言われたケースにも対応できる可能性があります。

Merit

  • インプラントの安定感が増します
  • インプラントが難しかった症例に対応できる可能性が高まります
  • 歯茎のラインが整うので、インプラントの審美性が向上します

Demerit

  • インプラントに関連した治療内容が増えるため、治療期間が長くなります
  • 治療が行えないケースがあります
  • 術後、痛みや腫れが生じる可能性があります
  • 手術部に稀に感染のリスクが伴います

骨造成移植治療の流れ

  1. Flow01

    歯肉の切開

    骨造成を行う部分の歯肉を切開します。

  2. Flow02

    人工骨(骨補填材)装填

    骨量の足りない部分に人工骨(骨補填材)を入れていきます。

  3. Flow03

    人工膜を装填

    上から人工膜を被せ、3~4ヶ月ほど待ちます。

  4. Flow04

    骨再生を待ちます

    徐々に骨が再生し、インプラント治療が可能な状態になります。

  5. Flow05

    インプラント埋入

    十分な骨量が確保できたら、インプラント手術を行っていきます。

自家骨骨造成治療の流れ

  1. Flow01

    歯肉の切開

    骨造成を行う部分の歯肉を切開します。

  2. Flow02

    顎の骨を採取

    オトガイ部、下顎骨など患者様の骨を採取します。

  3. Flow03

    固定

    ブロック状の骨をネジで固定していきます

  4. Flow04

    骨再生を待ちます

    徐々に骨が再生し、インプラント治療が可能な状態になります。

  5. Flow05

    インプラント埋入

    十分な骨量が確保できたら、インプラント手術を行っていきます。

糖尿病や
全身疾患がある方の
インプラントなど

以前は糖尿病、高血圧、心疾患、骨粗しょう症など全身疾患をお持ちの方はインプラント治療が断られるケースがありました。しかし、治療技術の進歩により全身疾患があっても対応できる症例が増えてきました。当院では事前に検査と分析を徹底し、安全な状況を確保した上で治療を行っていきます。また、心疾患などに関しては必ずかかりつけ医と相談の上、治療可能かどうかを決めていきます。ご安心ください。

糖尿病の方はHbA1cの値を
下げてから治療します

糖尿病の方でHbA1cが高いままインプラント手術を受けると、傷が治りにくく感染リスクも上がります。そのため、安全に治療を進めるには血糖値の管理をきちんと行い、HbA1cを安定させてから手術へ進むことが理想的です。コントロールが整った状態であれば、インプラントがしっかり定着し、長く使いやすくなる可能性が高まります。

インプラント治療後の
メインテナンスで
しっかりケア

天然歯に近い見た目と噛み心地を持つインプラント。しかし、その機能を維持するためには治療後のアフターケアが重要です。特にインプラントは人工物なので、トラブルが起きても違和感に気づきにくく、インプラント周囲炎を発症してしまうリスクが高まってしまいます。当院では患者様ごとにメインテナンスプログラムを作成し、末永くインプラントを使っていただけるようサポートいたします。

インプラント周囲炎について

インプラント治療後、セルフケアや歯科でのメインテナンスが不十分だと、歯肉との境目に細菌がたまってしまい、初期には出血がみられます。これがインプラント周囲炎です。そこから膿や腫れが出るほど進行すると、顎の骨が大きく失われることもあります。重度になるとインプラントを維持しにくくなるため、定期的な検診とクリーニングが欠かせません。

症例集

インプラント症例(骨移植)

歯周病が進行して骨が溶かされてしまった部分に、自分の骨や人工の骨を移植する方法です。歯肉や歯並び、歯の大きさなどが不揃いになった部分が、骨移植によって改善されます。自分の骨を使った自家骨移植の場合は、患者様ご自身の骨を使用しますので、非常に安全性が高く、移植後もスムーズに体に馴染んでいくことが期待されます。自家骨移植のほかに、自分の骨ではない骨を移植する他家骨移植と、人工的に作られた骨を使う人工骨移植もあります。

以下は、骨移植を行ったケースです。

年齢 60代
性別 男性
治療内容 自家骨造成手術と1歯インプラント補綴
治療期間/回数 7ヶ月 14回
費用 340,000~410,000円
(消費税別、患者様の保険診療負担金分は含まず)
注意点 自家骨移植による骨造成は4ヶ月程度かかります。

インプラント症例
(臼歯インプラント①)

下顎大臼歯2歯インプラント補綴治療の症例です。

年齢 40代
性別 男性
治療内容 下顎左側大臼歯2歯インプラント補綴治療
治療期間/回数 6ヶ月 8回
費用 2歯インプラント補綴 630,000〜700,000円
(消費税と他の保険診療負担金分は含まず)
注意点 とくにありません。

インプラント症例
(臼歯インプラント②)

下顎大臼歯4歯インプラント補綴治療の症例です。

年齢 60代
性別 男性
治療内容 下顎両側大臼歯4歯インプラント補綴治療
治療期間/回数 9ヶ月 14回
費用 4歯インプラント補綴 1,210,000〜1,350,000円
(消費税と他の保険診療負担金分は含まず)
注意点 インプラント治療が完了するまでは義歯を使ってもらいました。

インプラント症例
(ロケーターインプラント
デンチャー使用)

土台にインプラントを使用するロケーターインプラントによるフルデンチャー補綴治療の症例です。

年齢 70代
性別 男性
治療内容 下顎ロケーターインプラントを用いたフルデンチャー補綴治療
治療期間/回数 7ヶ月 14回
費用 ロケーターインプラント4本、下顎総義歯
850,000〜990,000円
(消費税と他の保険診療負担金分は含まず)
注意点 インプラント治療が完了するまでは旧義歯を修理しながら使ってもらいました。